3/01/2013

早い・速い・遅い

この前、テレビでレポーターが発した言葉をわざわざ「血流が早い」と字幕で出していた。今日読んだとあるブログでも「GPUが早い」って書いてあった。まぁタイポと片付けてもいいけど、根本的に「早い」と「速い」とを概念的にわかっとらん人が多いんじゃなかろうか。

もともと日本人にとってはどちらも「はやい」なので、速度が速かろうが時間が早かろうがまったく区別のない概念だ。このふたつが違う概念であるということは、漢字とともにもたらされた外来のもの。だから、間違えやすいのは仕方ないのかもしれないが、やはり書く場合にはちゃんと区別して使いたい。

では「すばやい」は「早い」のか「速い」のか。

基本的に「素早い」と書く。行動を起こすのが「早い」のが「素早い」だと思われる。素早く取り組んでも仕事は遅いかもしれない。

さて、「はやい」の反対の「おそい」を漢字で書けと言ったら、たいてい「遅い」以外に思いつかない。「夜遅い」も「仕事が遅い」もどちらも間違いだという人はいないんじゃないかな。

しかし、英語には「はやい」に「early」と「fast」があるように、「おそい」にも2つの概念「late」と「slow」がある。「早」と「速」の区別のある漢語にも、対応した反対語がないわけがない。だとすると、「おそい」をすべて「遅い」としているのは間違っているんじゃないの?

「早」の反対を調べてみたところ「晩」だった。夜おそい場合、「晩い」とするのがスジ。なるほど、「早晩」って熟語があるな。じゃ、「仕事が遅い」はいいのかというと、実はこれも違った。「遅」は英語のdelayに相当するもので、「おくれる」という意味。速度がおそいというのは「慢」なのだそうだ。

「はやい」に関しては漢字の使い分けが気になるが、「おそい」に関しては国民すべてが間違って使っていて、もうそれを正しいことにしちゃってる。いいかげんなもんだ。